まゆの日記

大学4年生 21歳の普通の女の子です。

幼すぎる美術モデル? ~ずっと放っておいてゴメンなさい~

こんにちは、まゆです。

 

ずっと長いこと日記を書いてなかったのですけど。ほんとうのほんとうに今回はもう書くのやめようと思っていたのです。そんなことばっかりなんども言って。気まぐれな子だって思われてもしかたないのだけど。もうやめた方が良いと思わせるようなことが立て続けに2つも起こったのです。いちどに書こうとするとぐちゃぐちゃになっちゃうから。起こった順に書こうと思います。

 

ひとつ目は春休みの終わりにこっち(大学のある方の街)に帰ってきてすぐのことでした。ひさしぶりにクロッキー会のお仕事をした次の日。用事があって学生会館に行った時でした。用事を済ませて帰ろうとしていたら男のひとに声をかけられたのです。「まゆさんですよね?」って。

 

日記ではややこしいからってここでは全部「まゆ」って書いてますが。その時呼ばれたのは本名ではなくてモデルのお仕事で使ってる方の名前でした。あとから考えるとそんな場所でちょっとおかしいのですけど咄嗟のことで「はい」って応えてしまいました。答えてから「しまった」と思ったのですけど。

 

学生会館の出口でお仕事の名前で声をかけられて返事をしてしまうなんて。大学の友だちでもわたしがヌードモデルをしていることはほんとうに信用できるひとにしか言ってないんだから。絶対に知らないふりを通さなきゃいけなかったのに。今さら人違いですとは言えないけど。じゃあなんて言えば良いんだろう?

 

わたしが固まってしまっているとそのひとは「やっぱりぼくのことわからないですか?昨日けっこうな時間同じ場所にいたんだけど」って。つまり前の日のクロッキー会に参加していた生徒さんということになります。そのひとは沢野さん(仮名)と言ってわたしとは違う大学の4年生でした。じゃあなんでうちの大学の学生会館にいるのか?イヤな予感しかなかったです。

 

沢野さんはそれまで絵なんか描いたこと無かったのだけど友だちが絵画教室に通っていて「めちゃくちゃ可愛いヌードモデルがいる」と聞いて体験入会という形で昨日の会に参加していたのだそうです。「まゆちゃんが好みのタイプ過ぎて絵を描くどころの騒ぎじゃなかったけどね」ってうれしそうでした。興奮したのか気が付いたら沢野さんはけっこう大きな声で話していました。

 

新学年が始まる前の学生会館はけっこうひとの出入りがあって。いつ知ってるひとが通ってもおかしくありません。そうでなくても沢野さんの口からヌードモデルなんて言葉が出るのは周りの目が恥ずかしかったので。「すみませんここでそういうお話はやめてもらえませんか?」とお願いしました。沢野さんはニヤッと笑って「じゃあふたりになれるところに行きましょうか」と言ってついてくるように促しました。

 

考えてみたらわたしにはついて行かなくちゃいけない義理なんかなかったのですけど。やっぱりないしょにしている美術モデルのことを知られていること。その彼がどういうつもりでいるのかわからないことから黙って従うしかなかったと思います。もし万一ホテルみたいなところだったらさすがに逃げようと思っていましたけど。

 

連れていかれた先は大学のすぐ近くにある大きな公園(みたいなところ)でした。ひと通りも少なかったし、かなり間隔をあけてベンチが置かれているので、わざとでない限り他のひとに話を聞かれることはなさそうでした。それにオープンな空間でひと目もあるからさすがに変に手出しをすることもできなさそうです。

 

移動する間に少し冷静さも戻ってきて。わたしは沢野さんに聞かなくちゃいけないことを考えることもできていました。まず他大学の学生なのになんでうちの大学にいて。それも昨日のクロッキー会で初めて会ったわたしと出くわすなんて偶然とは思えないし。わたしはお仕事の時はふだんと髪型やお化粧も変えてるし。それに今はマスクまでしてるんだから。普通は気が付かないはずなのにどうしてわたしだってわかったのか?

 

「やっぱり気になるよね?」と笑った彼の答えはほんとうにびっくりするものでした。クロッキー会の後で沢野さんはわたしのことを聞いた友だちとお酒を飲みに行ったそうです。わたしのことはすごい気に行ったのだけど。確かに低身長で可愛かったけど、その友だちが言ってたすごい童顔で幼い感じというのはちょっと違うのでは?ということも言ったそうです。

 

するとその友だちが最近はわざと大人っぽい化粧をしているみたいだけど。初めて参加した2年近く前(たぶんわたしがモデルを始めたばかりの頃)はお化粧もほとんどしてなくて髪型もみつあみをまとめたような髪型をしていて。ロリ感いっぱいですごい衝撃を受けたこと。最近も外で見かけた時!?はその頃のままの姿でめちゃめちゃ可愛かったと言ってその時のわたしの写真も見せてもらったそうです。もちろんデッサン中のヌードの写真じゃなくて。どこかでプライベートな時に隠し撮りした着衣のものだったそうですけど。

 

実はその友だちはわたしのことが好きで。なんどかわたしの下宿まで来たことがあったのだけど。けっきょく一度も声はかけなかったそうです。沢野さんは友だちからわたしの住んでる学生マンションの名前を聞き出して。今朝は近くで待っていてわたしが出かけるのに付いてきたのだと。ナチュラルメイクにだてメガネとおさげの髪型を見て惚れ直したのだと言いました。

 

それだとまったくのストーカーじゃん?と思ったのですけど。それ以前にその友だちというひともそんな風にわたしのことを2年近くも見ていたなんて。そのことにぜんぜん気が付いていない自分の間抜けさにも驚きでした。友だちというひとは沢野さんと年齢はいっしょだけど1学年上でこの春には大学を卒業して。実家のある町に帰ることになっていて。その時のクロッキー会がわたしに会える最後の機会だったとのことでした。

 

「そのひとってわたしのこと好きだったんですよね?」わたしは沢野さんに聞きました。そんなストーカーみたいなことを2年も続けるくらいだったらどうしていちども声をかけずに去ろうと思ったのか?不思議に思えたからです。好きだとまで言わないにしても普通に友だちになるチャンスくらい作れなかったのかな?って。わたしはそのひとと言葉を交わした覚えがまったくなくって。言われてみたらあのひとのことかな?って思うくらいでした。

 

「いなくなった人間のことをあれこれ考えるよりぼくの話を聞いてよ。こうして正々堂々と話をしてるんだからさ」と沢野さんは言いました。写真を隠し撮りするひとのことも気になりますけど。それをもらったうえで話をしてきている沢野さんの話はひととおりきかないわけにはいきません。あまり良い話とは思えなかったのですけど。

 

「きみ美術モデルなんかしてるよりもさあ。もっと有名になって稼ぎたいと思わない?」思いがけない話の展開にわたしは絶句してしまいました。でもすぐに思ったのです。また形を変えたスカウトなんだって。ただ今までのと違ってこのひとはわたしが美術モデルという名のヌードモデルをしていることを前提に話をしてきている分やっかいかもしれないって。

 

どんな反応があるか?はわからなかったけどとにかくわたしの本心を伝えることにしました。「わたし有名になんかなりたくないしお金持ちになりたいとも思っていません。だからお願いだからそっとしておいてください」って。でも沢野さんは「どうするのか?は話を聞いてから考えてよ」と彼が思いついたというアイディアを話し始めました。わたしは仕方なく話を聞くことにしました。

 

彼が言うには最近やたらと多い女の子の売り出し方に「可愛すぎる※※」とか「美人すぎる※※」というのがあるけど。「あれって大して美人じゃなくても話題になったりしてると思わない?」というのです。彼がなにを考えてるのか?わかったような気がしました。わたしのこと『可愛すぎる美術モデル』とか言って売り出すつもりなんだって。

 

でも美術モデルという地味な仕事(日の当たらない仕事です)とは言え仮にもモデルと名の付くわたしに当てはめたら。それを見た世間のひとは「モデルが美人だったり可愛かったりするのは当たり前。それにこの娘言うほど美人なんかじゃないし」ってきっと思うだろうって。他の仕事とはいっしょにできないだろうって。

 

「わたしのこと『可愛すぎる美術モデル』とかで売り出すつもりなんですか?」わたしは思ったことをストレートに聞きました。さっき考えたこともいっしょに。そんなのきっと恥をかくだけで終わるからって。すると沢野さんは「きみは自分が思ってるよりずっと可愛いよ。気が付いてないとしたらほんとうにもったいないよ」と言いました。それに今日わたしに改めて会ってみて『可愛すぎる美術モデル』よりももっと良いキャッチフレーズを思いついたって。

 

「それは『幼すぎる美術モデル』って言うんだ。これだったらみんな認めざるを得ないはずだし。インパクトの強烈さは『可愛すぎる美術モデル』の比じゃないからって。「きみ身長何cmくらい?150cmは無いでしょ?昨日はちょっと大人びた化粧でそれほど思わなかったけど。今日こうして会ってるとマジで中高生みたいだもん。それにそんな幼い容姿の女の子が脱いだらすごくきれいな身体してるなんて。絶対に話題になるよ」って。

 

そうだよね…他の可愛すぎる系で売り出したひと。ビールの売り子さんも市会議員さんも電車の運転手さんも弁護士さんもお医者さんも。他にもいっぱいいただろうけど。タレントさんになってから水着くらいにはなったひともいるだろうけど。みんな最初はちゃんと仕事の時の衣装を着てたんだろうね。でも幼すぎる美術モデルさんだけは全裸じゃなきゃ意味がないんだろうから。そして行き着く先はそういうタイトルのAVへの出演くらいしかないんだろうな。

 

「やっぱりそっとしておいてもらえませんか?このお話は沢野さんの心の中だけにしまっておいてください。だれかそういうのに興味のある他の美術モデルさんを見つけるまで。だからお願いします」わたしは頭を下げてやっとそれだけ言うとその場を立ち去りました。追いかけられるかな?ってちょっと怖かったけど。沢野さんはその場で立ち上がって「ぼくはあきらめてないからね。他にも話したいことがあるからまた会いに行くよ」とだけ言いました。

 

結局、その後も沢野さんとは会うことになりました。『幼すぎる美術モデル』になるつもりはぜんぜんなかったけど。なぜか彼の話には聞いてみたい気持ちが抑えられなかったから。わたしやっぱりおバカさんなんですね。そのお話はそんなに間を開けずに書こうと思っています。それからもう一つの出来事のことも。

 

気が付いたらすごく長い文章になってしまいました。

いつものことなんですけどね。💦

 

読んでくださってありがとうございました。

 

ではではまたね。

 

まゆでした。

 

 

※ 日記に出てくる名前はぜんぶ仮名です。

※ せっかくコメントしてくれた方たち。ずっと放っておいてゴメンなさい。コメ返はしてませんけどおくればせながら承認にさせてもらいました。ちゃんと読ませてもらいましたので許してくださいね。