こんにちは、まゆです。
昨日の夕方すずかちゃんから電話がかかってきました。
今から行きたいんだけどいいかな?って。
特に用事もないからかまわないって答えて。
雨もあがってたのですずかちゃんは自転車でやってきました。
さきちゃんもどうかな?ってLINEしたんだけど。
高校の時の友だちと約束してるからということで。
昨日はすずかちゃんと2人になりました。
夕方6時半ごろに来たすずかちゃんは。
昨日もお酒をもってきていて。
わたしにも飲みやすいだろうからって。
缶入りの梅酒も買ってきてくれてました。
晩ご飯はオムライスとグリーンサラダのつもりで。
材料的に2人分はぜんぜんOKだったので。
すずかちゃんが来る時間に合わせて作っておきました。
来るなりすずかちゃんはオムライスを見て。
「わたしまゆをお嫁さんにもらおうかな?」って。
すずかちゃんは料理はちょっと苦手なのだそうです。
それとそんな風に言った理由は他にもあって。
それが急にうちにやってきた目的でもあるのですけど。
すずかちゃん彼氏と別れちゃったのです。
前に女子会した時も最近うざくなってきたから。
他にいいひといないかな?って言ってたのですけど。
ほんとうに別れちゃったみたいです。
すずかちゃんの方からふったので失恋ではないのですが。
別れるにいたった経緯とかを聞いてほしかったって。
すずかちゃんの元カレはこの前言ってたみたいに。
同じ付属中高のひとで高校2年になったころに。
彼のほうから告られてそのまま付き合っていたそうです。
すずかちゃんは付属の中でもめだつ方で。
反対に彼の方は見た目は格好良いのだけど。
あまり前に出ないおとなしい優等生だったそうです。
付属はお金持ちの子が多くて。
すずかちゃんの家もお父さんが大手の会社の役員さんで。
彼の家も不動産とかたくさん持ってる資産家なのだそうです。
付き合ってしばらくのあいだは。
ちょっと気が弱いところはあるけど。
優しくっていいひとだって思っていたそうです。
そんな彼への見かたが変ったのは3年の秋くらいからで。
大学の偏差値とかランクをよく言うようになって。
同じ付属高校の子はほとんどが内部進学なのだけど。
それ以外の友だちが受験する大学の名前を言って。
「あそこの大学は偏差値がいくら」だとか。
「前はもっと勉強できるやつだったのにな」とか。
そういうの何度も聞いてるうちにイヤになってきて。
「それ前にも聞いたけど、そんなのどうでも良いじゃん」って。
もう話題にしないように言ったのだけど。
なにかの拍子にそのことが口をついて出るようになって。
「あんなFラン大に行ってもムダなのにね」とか。
芸能人の出身大学のことを言って。
「よく人前で大学名言えるよな」みたいな。
すずかちゃんはそういうのが大嫌いで。
実は付属にいる時からエリートみたいな言い方する子とは。
できるだけ距離をおくようにしていたそうです。
学校の中でも良い家柄で親戚に有名人がいるとか。
どれくらいお金持ちなのかということを。
さりげなく匂わせたり自慢したりする子とかもいて。
暗黙のカーストみたいなのもあったそうです。
もちろんほとんどはそんなイヤな子じゃないのですけど。
でも心のどこかにそういうのがあるなって。
感じる時はけっこうあるのだそうです。
たぶんみんなコンプレックスの裏返しで。
彼が大学の偏差値のことを言うのも。
勉強はできるけど運動とかぜんぜんだし。
特技らしいものも彼にはないのだそうです。
アニメとか映画のこととか詳しくって。
面白いひとだって尊敬する部分もあったのに。
ほんとうはそんな小さい男だったなんて。
「うちより上の大学なんていくらでもあるのに。
なんか滑稽でしょ?」って。
最近はあんまり会わなくなっていたので。
さきちゃんじゃないけど自然消滅でいいか?って。
そんな気持ちになってきていたのだそうです。
それが昨日たまたま出会ってひさしぶりだからって。
お茶でもしようってファミレスで話をしたそうです。
それで学部とかも違うから「どんな感じ?」みたいな。
お互いの近況を話していたら地方出身の子の話になって。
「それがすごいうけるんだけど」とかいいながら。
自己紹介を方言のイントネーションで真似しだして。
それですずかちゃんは「こいつ絶対ないわ」って思って。
別れをきりだそうって決心したのだそうですけど。
「でももっと腹がたったのがねえ!」って。
ちょっと酔いが回ってきたすずかちゃんが声を荒げて。
彼はその子のことを「母子家庭で貧乏人なんだけどさ」って。
「授業料税金で払ってるんだぜ、俺たちの」って。
それで完全に切れたすずかちゃんは。
「あんた何様のつもり?親の金で遊んでるくせに!」って。
「わたしの親友も地方出身で母子家庭で学費免除だけど。
ほんとに良い子だし尊敬でしかないわ!」って。
なんかまゆのことをけなされたみたいな気がしたって。
「わたしそんなに偉くなんかないよ」って言ったのだけど。
「そういう問題じゃなくってひととして許せないの」って。
「もうあんたとはやっていけないから」って。
そんなひとだなんて思ってなかったって言ったら。
「そんなつもりじゃないし別れたくない」って。
「そんなつもりじゃなかったらどういうつもりだったの?」
って、そう問い詰めたらなんかしどろもどろで。
「だって不公平じゃん」とか言い出したから。
「あんたほんまもんのバカか?」って。
だれでも公平に大学に行けるようにするための制度だって。
そんなこともわからないでなに偉そうに言ってるんだって。
そうしたら「そんなの離婚した親の自己責任だろ?」って。
それで「わたしの親友のお父さんは事故で亡くなったんだよ」って。
「世の中にはいろんな事情で学校あきらめるひとがいっぱいいるのに。
ひとの痛みがわからないような奴なら顔もみたくない」って。
ひとしきり元彼への不満を言ったすずかちゃんは。
「ゴメンね。こんな話気分悪かったでしょ?」って言うんだけど。
「そんなのぜんぜんだよ。ちゃんと言ってくれてありがとう。
わたしのこと親友って言ってくれたの。すごいうれしかった」って。
悲しいのはすずかちゃんなのにわたしが泣いてしまいました。
すずかちゃんは「悲しくなんてないよ。せいせいした」って言って。
「あんな奴の代わりにこんなに可愛い友だちができたんだもん」って。
それでわたしの方こそ最初会った時には。
ちょっと派手な感じだし苦手な子かも?って思ってたって。
でもすごい良いひとだってすぐにわかったけど。
見た目でひとを判断してたかもしれないしゴメンって。
昨日は遅くなったのでお泊りしてもらいました。
女の子の家に泊まってるって証明するために。
いっしょに撮った写メをLINEで送りました。
「今日はあたらしい親友ん家で泊めてもらいます」って。
こうするのがご両親との約束なのだそうです。
学費免除とか給付型奨学金のことって。
やっぱりそんな目で見てるひとがいるんだって。
それはすごいショックなことだったけど。
それ以上にこっちでも親友ができたうれしい日でした。
それにことばでは言ってないけど。
さきちゃんのことも親友と言っていいのかな?
少なくともわたしは彼女のことが大好きだし。
ほんと良いひとに巡り合えたって感謝しています。
もうかなり長くなっちゃったから。
今日はこれくらいで終わります。
読んでくださってありがとうございました。
それではまたね。
まゆでした。