まゆの日記

大学4年生 21歳の普通の女の子です。

わたしだれとでもする女の子じゃないよ!

こんにちは、まゆです。

 

今日はバレンタインディ。去年のこの日にはおにいちゃんへの本命チョコと。あとお世話になった先生にも手作りのチョコレートをあげました。今年はどうしよう?と思ったんだけど良い考えが浮かばなくって。おにいちゃんにだけこっちで有名な洋菓子屋さんのチョコレートを宅急便で送りました。午前中に無事届いたって連絡がありました。お礼は今度帰省した時にねって。

 

ところでです。ずっと前から日記を読んでくださってる(そんなひといるかな?笑)ひとなら中西くんってわたしが仮名を付けた同じゼミの男の子がいたのを覚えていらっしゃいますか?まだ対面授業が始まる前だったのですけど。オンラインだったゼミの授業はゼミのメンバー全員の映像が見られるようになっていて。それでわたしのことを気に入ってくれて。一時期ストーカーみたいなことを言ってきてたあのひとなのですけど。

 

理由もなく個人でDMを送ったりするのはやめましょうって先生が言ってくれてからはすぐに自分のことだと気が付いた?みたいでそういうことはしてこなくなってて。秋になって対面授業が始まってからはそんなことなかったかのように(隠れてわたしのこと盗み見てたのは知ってるけど)普通にふるまってたので。もうあきらめて気持ちを切り替えてくれたんだって思ってたのだけど。

 

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そんな中西くんから昨日の夜ひさしぶりにLINEがきました。どうしても会って話がしたいからって。でも前のことがあるから一対一で会うのは困るって返事をしたのだけど。ほんとうに真面目な話だからって言われて「疑うわけじゃないけどほんとうに何もしちゃイヤだよ」って言うことで今日会ってきました。お昼をごちそうするからって彼が指定したのはいつもすずかちゃんたちと行くイタリアンのお店。ここは個室っぽいから話をしやすいんだろうけど。

 

12時で予約してるからって少し前に行ったら彼はもう来ていて。思った通り個室っぽい奥の方の席でした。案内してくれたお姉さんがわたしのこと覚えてくれててちょっと気まずかったです。だって今日ってバレンタインディなんだから。あとでちゃんと言い訳しとかなきゃって思いました。その時はどんな話になるのか?わからなかったけど。

 

「レポートは出し終わった?」みたいな話から始まった会話は彼の方が一方的に話してて。でも出てきた料理を食べるスピードは彼の方がぜんぜん早くって。大事な話があるっぽかったけどどうなんだろう?って思っていました。食べ終わってドリンクを飲みながらいったいなにが言いたかったんだろう?って思ってたら急に真面目な感じになって彼も少しのあいだ黙ってしまいました。

 

「実は大学やめることにしたんだ」沈黙の後で中西くんが唐突に言いました。えっ?さっきまでレポートの話とかしてたのに?って思ってると中西くん「うち実家が※※県なんだけど観光客相手の商売してて。コロナのせいで余裕なくなっちゃって」って。聞けば確かに彼の故郷は日本人ならだれでも知ってる有名なところで。実家は老舗らしくて中西くんはおぼっちゃんだったんだなって。

 

でもせっかく入った大学だしあと3年奨学金とか使って頑張れないかな?って聞いたんだけど。もともと大学で勉強したことを社会人で生かそうなんて気持ちもなかったし。どちらかというと家の仕事を手伝うまでの猶予期間みたいな感じで考えてたからって。でも前に聞いた時はアニメとか好きでそういう仕事に就きたいって言ってたのにって言ったんだけど。それも家が商売してて生活に困らないこと前提みたいなとこもあったからって。

 

帰ったらどうするの?家の仕事を手伝うの?って聞いたら。従業員のひとみんな辞めてもらったから身内だけで細々とやってく感じかな?って。今は借金が増えないように地味にやってくしかないからって。もし前みたいにお客さんが帰ってきたらその時に楽できることを考えて今は頑張るからって。

 

ちょっと気持ち悪いこと言われて敬遠してたけどやっぱり友だちだしこれで別れちゃうのは残念だねって。今まで考えてなかったけど身近なひとでコロナの影響を受けるひとが出てくるなんて。でもそんな大事なことわたしに知らせてくれてありがとうって言ったのだけど。ここからが…ありえない展開だったのです。

 

それで最後のお願いがあるんだけど…って中西くんが神妙な様子で言うから「わたしにできることだったら言ってみてよ」って聞いたら「そう言ってくれるとうれしいよ。こんなこと恥ずかしくて言おうかどうしようか?実は今の今まで迷ってたんだ」って。大学辞めることだって重大なことなのに他になにが?って思ったのだけど。

 

「実はぼく童貞なんだ」ってそんなこと告白されてもって黙ってしまったら「前も言ったけどほんとまゆちゃんてぼくの理想の女の子なんだ。だから初めてって大好きなひととしたいって思うじゃない?だから一生のお願い。一度で良いからぼくとSEXしてほしいんだ」って。このひとなに考えてるの?プロの女のひとならお金出して頼んだらしてくれるかもだけど。わたし普通の素人の女の子だよ。そんなこと頼んで「わかったよ」って言うと思う?

 

しばらく何も言えずにいたのだけど目の前で大真面目に手を合わせてる中西くん。どんな断り方したら良いのか?ぜんぜん思いつかなくて「わたし誰とでもする女の子じゃないよ」って言ったのだけど中西くんは「だってもうぼくたち二度と会えないんだよ。大学生活のせめてもの思いでに」って。ふつうの男のひとってこういう発想するんだろうか?ムリヤリ襲ってくるひとよりはマシって考えるべきなんだろうか?

 

「思ってくれる気持ちはうれしいんだけど。わたしどうしてもムリだからゴメン」って言ったのだけど。「思い半ばにして大学を去るぼくに免じて」とか。わたしのこと一体なんだと思ってるんだろうって。なおもムリだからって断ってると「せめてまゆちゃんの裸を見せてくれないかな?一生の思い出にするから」って。そんなの見せたら絶対中西くん我慢できなくてわたしのこと襲うでしょ?とは言わなかったけど。

 

ねえお願いだからキレイなままで別れようよって。ここで言われたこと絶対に誰にも言わないから。そうすれば中西くんのことみんないい思い出にできるはずだからって。中西くんの初めてはもっとこれから先いっしょに生きていけるひとのためにとっておいた方が良いよって。

 

中西くんは「わかったよ。まゆちゃんの言う通りだね」って言ってくれて「じゃあ握手してわかれようか?」ってなったのだけど。わたしの手を両手で包んだ時に指の1本1本を確かめるようにさわるのってめっちゃイヤらしいよ。それにそのままハグされたんだけど。抱きしめ方がハグの領域を超えてるしきつく抱き寄せてお尻まさぐったりするのはやり過ぎだよ。それにわたしの髪の匂いを音を立てて思いっきり吸い込むのは気持ち悪かったよ。

 

もしかしたらダメ元で言ってみただけなのかもしれないけど。もしOKされたらラッキーくらいの感じで。でもこんなことしてたら絶対に女の子にはもてないと思います。こんなこと言ったら悪いけど黙ってても女の子が好きになるタイプのひとじゃないんだもん。もっと性格の良さとかを前に出した方が良いと思う。性欲があるのはみんな同じだけどその出し方が間違ってると思うから。

 

でも絶対に思うのです。中西くんはきっと性格は良いんだと。ただちょっと常識がおかしくなってしまってるだけだって。コロナが収まって彼のご実家がまた持ち直して笑顔で再開する日がくると良いのにって。でもコロナのことが無かったら中西くんはわたしとのことこれからどうするつもりだったんだろう?それも考えちゃいました。

 

読んでくださってありがとうございました。

 

それではまたね。

 

おやすみなさい。

 

まゆでした。

 

 

※ 日記に出てくる名前はぜんぶ仮名です。